土・水・環境を一体で整える

安心安全のお米ができる理由 2

土・水・環境の管理

土作り ― 地域で循環し、土そのものを育てる

当法人の米づくりにおいて、土作りは最も重要な基盤です。ここで行っているのは、単に肥料を入れて稲を育てることではありません。
土そのものの状態を整え、長い時間をかけて育てていくことを大切にしています。

1 地域の中で資源が循環する仕組み

当法人は、萩むつみ豚資源循環クラスター協議会の一員として、地域の養豚と連携した土作りを行っています。
米づくりの中で生まれるもみ殻や米ぬかは、萩むつみ豚を生産している小野養豚に提供され、豚の飼養や資源として活用されます。そして、その後に生まれる豚糞は堆肥となり、再び田んぼへと戻ってきます。
米 → もみ殻・米ぬか → 養豚 → 堆肥 → 田んぼ → 米
この循環が地域の中で実際に回っていることが、当法人の土作りの大きな特徴です。

2 穏やかに効く堆肥が米の味を引き出す

使用している豚糞堆肥は、肥料として強く効きすぎるものではありません。窒素は過剰にならず、カリウムを含み、有機物がゆっくりと分解されながら、土の中で穏やかに働きます。この性質によって (1)稲に過度な負担がかからない (2)生育が安定する (3)食味への影響が出にくい といった効果が生まれます。特に窒素が効きすぎないことは、米の品質にとって重要です。過剰な施肥は、倒伏、粘りの出すぎ、味の重たさ につながることがありますが、当法人の土作りでは、そうしたリスクを抑えながら、米本来の香りや粘りを引き出すことにつながっています。

3 微生物が働く「生きた土」

この堆肥を継続して使うことで、土の中では微生物の働きが活発になります。その結果、
 • 有機物の分解が進む
 • 団粒構造が形成される
 • 通気性と保水性のバランスが整う
といった変化が起き、根が健全に育つ環境が整っていきます。
これは一度で完成するものではなく、長年の積み重ねによってつくられてきた土です。

4 土を育てることで、稲が力を発揮する

当法人の土作りは、短期的な収量や効率だけを追うものではありません。
土を育てることで、稲が本来持っている力を引き出す。
その結果として、
 • 生育の安定
 • 品質のばらつきの抑制
 • 食味の向上
につながっています。

5 地域の中で続いていく土作り

この土作りは、外から資材を持ち込んで完結するものではありません。
地域の米づくりと養豚がつながり、資源が循環し、また次の土へと返っていく。
結果として持続可能な農業にもつながる取り組みですが、まずは地域の中で自然に続いてきた営みとして、今も日々積み重ねられています。

水の管理 ― 見て判断し、分け合い、活かす

当法人では、水の管理を「決まった通りに行う作業」とは考えていません。
その日の水の状態を見て、その田んぼの様子を見て、どう使うかを判断することを大切にしています。

1 水は、目で見て判断する

田んぼで使う水は、山から流れてくる自然の水です。
そのため当法人では、近くの川や水路の状態を日々確認し、水の変化を実際に目で見て判断しています。
「水は、見て判断するしかない」
自然の水は常に同じではないからこそ、その都度確認することが基本になっています。

2 ため池と水路で水を行き渡らせる

当法人のエリアには、3つのため池があり、山からの水を一時的に蓄えながら利用しています。
さらに、水田には細かな水路が張り巡らされ、水が一部に偏らないよう、全体に行き渡る仕組みが整えられています。
水を一気に流すのではなく、必要なところへ、必要な分だけ届ける。この積み重ねが、水管理の基本です。

3 地形を活かした水の使い方

当法人の水田は、中山間地の地形に沿って、段状に広がっています。
代かきの時期には、上段の田んぼから下段の田んぼへと水を流しながらためていくことで、水を効率よく行き渡らせています。
ポンプを使わず水を動かせるところは、地形の高低差を活かして、エネルギーや人手をできるだけ使わない管理にしています。

4 田んぼごとに、水を動かす

当法人の水田は (1)地形 (2)水の入り方 (3)土の性質 が田んぼ一枚ごとに異なります。そのため、水の使い方も一律ではなく、田んぼの状態に合わせて調整しています。
水は多ければよいものではありません。
水が多すぎると、土の中の空気が減り、根の状態が悪くなることがあります。そのため、必要に応じて水を落とし、土に空気を入れる管理を行っています。

5 水は、分け合って使う

中山間地では、水は限られた資源です。
一つの田んぼが水を取りすぎれば、下流の田んぼに水が届かなくなります。
そのため、水の流れを見ながら、必要な分だけ使うという、分け合う使い方をしています。
また、水は田んぼの外へも流れていくため、農薬や肥料の使用状況も踏まえながら管理しています。

病害虫対策 ― 発生させないための環境づくり

当法人では、病害虫対策を「発生してから対応するもの」とは考えていません。まず大切にしているのは、病気や害虫が出にくい状態をつくることです。

1 稲の状態を見て、日々判断する

田んぼの状態は、毎日同じではありません。
そのため当法人では、
• 葉の色
• 稲の立ち姿
• 生育の進み方
といった変化を見ながら、稲の状態を日々確認しています。
「稲を見て判断する」
異常があれば、それが水なのか、養分なのか、病害虫なのかを見極め、必要な対応を行います。

2 土と水の管理が病害虫を抑える

当法人では、土作りや水の管理を通して、稲が無理なく育つ環境を整えています。
根が健全に育ち、稲がしっかりとした状態であれば、病気や害虫の影響も受けにくくなります。
そのため、病害虫対策は単独ではなく、土と水の管理と一体で行われています。

3 草刈りによる環境づくり

田んぼの周囲に生える雑草は、害虫のすみかになることがあります。
そのため法人むつみでは、適切なタイミングで草刈りを行い、害虫が発生しにくい環境を保っています。
農薬に頼る前に、できることを積み重ねる取り組みです。

4 必要なときだけ、必要な対応を行う

病害虫の発生を完全に防ぐことはできません。そのため、発生状況と周囲の田んぼの状態を見ながら、必要な対応を判断しています。
状況に応じて(1)水の管理を調整する (2)生育環境を整える (3)田んぼ周辺の草刈りを行う (4)必要最小限の防除(農薬の使用を含む)といった対応を行います。むやみに対処するのではなく、状況に応じた判断を重ねることを大切にしています。

記録と見直し ― 次の栽培につなげる

当法人では、土作り・水の管理・病害虫対策について、それぞれの作業や判断を記録として残しています。
 • 水の状態や管理内容
 • 病害虫の発生状況と対応
 • 田んぼごとの変化
これらを振り返ることで、翌年以降の栽培に活かし、よりよい管理につなげています。
こうした取り組みは、エコやまぐち農産物やJGAP(ジェイギャップ)の基準にもつながる、継続的な改善の土台となっています。

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